経営者インタビュー

チャンスは現地にある ~IT業界としてミャンマーへ進出した先駆けの企業経営者に聞く(1/3) ミャンマー

2016年4月20日(水)10:00

(Myanmar/ミャンマー)

※本記事は3回に分けて掲載します。
  本記事は第1話の掲載分です。
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オー・エイ・エス株式会社
取締役 富田裕行様  取締役 太田義明様

 
 オー・エイ・エス株式会社(本社:東京都千代田区)は1974年に創立され、ソフトウェア・パッケージの企画・開発・販売 (コールセンターシステム、通販システム、CTIシステム)、WEBシステムの開発・企画・構築・運営、システムインテグレーション、マルチメディアコンテンツ企画・制作等を事業とされています。

 2013年に、ソフトウェア開発等を手掛けるミャンマー法人OAS MYANMAR CO., LTD.を、ミャンマー・ヤンゴンに設立されました。

 同社がミャンマーに進出された経緯、お取り組み、課題等についてお話しをうかがいました。

―御社のミャンマー事業の概要をご紹介ください。
 
 弊社は、2013年にミャンマー現地法人であるOAS MYANMARを設立しました。
h5vz5mkk25k76x6d2ftc-136411b9.jpg現地でのIT事情(人材、マーケット、ユーザー)の調査から開始し、2014年5月にヤンゴン情報技術大学(University of Information Technology:以下UIT)にて寄付講座をスタートしました。そして同年9月には、ミャンマーにて現地人材採用を開始しました。
 
 OAS MYANMARが事業計画で掲げる目標には、大きく分けて5つあります。
 富田取締役    

 1つ目は、OAS(日本側)製品のシステム開発コスト低減です。自社のソフトウェア製品開発の一部分をミャンマーで開発することによりコストダウンを図り、日本国内でのコスト競争力を高めることが目的です。将来的には、ミャンマーでのコールセンターソリューション展開も検討しています。

 2つ目に、現地企業と日系進出企業へのシステム提供です。システムを活用して事業に取り組んでいる企業は、まだ少ないですが、これからシステム化する企業は当然増えていくと考えています。現在は、現地の旅行会社向けにホームページの制作・運営を提供していますが、現地でシステム開発が出来るようになるには、もう少し時間がかかると思います。
 
 3つ目は、ミャンマーにおけるIT人材育成への協力です。具体的には、UITへの寄付講座である「OAS-LAB」の運営です。現在は、HIDAの専門家派遣制度を利用して弊社社員が、16名の学生に対して週に3回、資質教育を含むIT実践トレーニングを行っています。他にも、学生・先生・卒業生を対象とした日本語教育も行なっていて、現在は週2回で3クラス、延べ100名ほどが受講しています。
 
 一番熱心に日本語を勉強しているのは大学の先生たちだと思います。UITは多数の日本の大学と提携しており、インターンシップ制度に応募する上で、日本語が出来ることが望ましいようです。実際に、日本の大学と交流している先生や学生が増えています。また、UITの学長は日本の大学を卒業されているので、日本語が流暢ですし、大学全体に親日的な雰囲気が感じられます。

 因みに、UITとのコラボレーションを始めた日本企業は弊社が最初でしたが、その後、複数の日本企業がUITにラボを開設しましたので、現在は5社の日本企業がUITに寄付講座を開設しています。UITに寄付講座開設を希望している日本企業は他にもありますが、現キャンパスには空いている教室が無いため「待ち」状態のようです。UITでは新キャンパスに近代的な校舎を建設中ですので、新校舎が完成すると、教室がひっ迫している状況は、改善されると予想しています。
 
 弊社がこうした取り組みをしている理由の一つには、現地の優秀なIT人材が効果的に採用できることを期待している側面があります。ミャンマーでは、日本のようなリクルートシステムは確立されておらず、良い人材を集めるためには、新聞に広告を出し、高級ホテルの会議室を借りて説明会を開くというのが一般的な方法です。今、IT分野は人気があるので、応募者が数百名集まります。多数の応募者の中から人選して、面接して…とやっていくので、時間もコストも非常にかかります。しかし弊社の場合は、寄付講座の受講者から採用が可能となりますので、お互いにミスマッチが少なく、コストや時間にも無駄がありません。寄付講座と言っても、双方にメリットがあると感じています。
 
 目標の4つ目として、弊社製品のミャンマー国内展開の準備があります。2015年8月にUITを会場とし、弊社が主催してコールセンターシステムを紹介するワークショップを開催しました。現地の銀行や政府関係者、同国に進出されている日本の銀行の方などにもご参加いただき、午前・午後の2回に分けて実施したワークショップが2回とも満席、計約100名の参加者を得ました。

 このワークショップを開催した目的は、コールセンターという顧客満足度の向上などを目的とする付随的なシステムについて、ミャンマーの人たちに理解して頂けるかどうか、あるいはそのようなシステム需要があるのかをリサーチすることでした。セミナー後の質疑応答の様子などから、想像していた以上に高い関心を持たれていることが分かりました。ワークショップ参加者との名刺交換懇談時に知ったのですが、現地銀行のCIO(最高情報責任者)や大手企業のIT部門の方の多くは、欧米への留学経験があり、グローバルな価値観と知識をお持ちでした。ですから、ミャンマーのインフラが整ってくると、付随的なシステムへのニーズも、爆発的に増えていくのではないかと期待しています。
 
 最後に、現時点では夢のような壮大な計画かもしれませんが、ASEAN経済共同体を踏まえて、長期的(10~20年後)には自社製品をミャンマーからASEAN諸国へ展開し、ミャンマーと共に発展したいと思っています。コールセンターソリューションについても、ミャンマーだけに留まらず、ASEANにも展開していければ、コストメリットと競争力を強化できる可能性が非常に高いと思っています。

 以上が、事業概要を含めたOAS MYANMARの現状です。
 
―御社がミャンマーへの進出をお考えになった理由は何でしょうか?
 
 背景として先ず、高齢化・少子化による日本市場の縮小が挙げられます。賃金コスト上昇などに不安がある中国から、どこにシフトすれば良いか?と考えた時に、ベトナムやフィリピン、タイなどには、すでに大手日系IT企業が多数進出していました。弊社は200名規模の中小企業ですから、今からそれらの国へ進出しても人材確保などで優位に立つことは難しいと判断しました。

 その後、2013年1月に、弊社が会員となっている中小企業家同友会のミャンマー視察ツアーに参加し、現地を訪問してみると、一昔前の日本を思わせるノスタルジックな雰囲気がある一方、他の国と違って物乞いなどは見かけませんでした。仏教国のミャンマーでは、貧しい人たちにはお寺から教育や食事が提供されるので、物乞いをする人が少ないようです。市街地の道路整備は十分ではありませんが、掃除が行き届いていることにも好印象を持ちました。

 経済的にはこれからですが、心の豊かさを感じました。低賃金でもあり、「ミャンマー、良いかもしれないな」との印象を持ち、さらに2013年8月に、来日中のUIT学長との出会いにて、寄付講座を要請されたというご縁もあり、ミャンマー進出を決めました。
 
※本記事は3回に分けて掲載します。
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