経営者インタビュー

『OEMサプライチェーンとして世界的に不可欠な存在となる』 ~パキスタンの自動車・非自動車向け部品のOEM生産企業役員に聞く パキスタン

2016年9月28日(水)10:45

(Pakistan/パキスタン)

Alsons Auto Parts社
Mr. Ahmed Zafar (Chief Operating Officer)
Pakistan

yvftxpygka8wez8bnbnk-583772c5.jpgHIDAが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
 
今回、パキスタンで自動車・非自動車向け部品のOEM生産会社を営む参加者にお話しをうかがいました。



-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。
 

 
Alsons Autoparts Pvt. Ltd.(AAP)はISO 9001およびISO 14001の認証を取得したパキスタンのカラチに所在する製造会社です。1980年にAlsonsグループの一部として設立された我が社Alsons Autopartsは、1996年に戦略事業ユニットとなりました。
 
AAPはパキスタンで自動車・非自動車向け部品のOEM生産に携わっています。我が社の主要な顧客は、トヨタ自動車株式会社(インダス・モーター社(IMC))、スズキ株式会社(パックスズキモーター社)、ホンダ・カーズ・アンド・モーターサイクルズ(アトラスホンダ・リミテッド(AHL)およびホンダアトラスカーズ(パキスタン)・リミテッド(HACPL))、ヤマハ発動機株式会社(ヤマハ・モーター・パキスタン(YMPK))、フィリップス、株式会社JVCケンウッド、ケー・エレクトリックなどです。AAPは現在、管理スタッフ145名と契約社員507名を雇用しています。
 
四輪車・二輪車用速度計、プラスチックアセンブリ、シートメタルアセンブリは我が社の主要製品カテゴリーです。AAPは「品質」において競合他社より優れていると宣言していて、欠陥のない製品を大切な顧客に供給する方針を打ち出しています。
 
 
-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。
 
 
我が社の戦略的目標を達成するためには、以下の項目が極めて重要であると認識しています。
 
 

1. 品質管理: 工程管理・システム順守、および欠陥管理システムにより可能。
2. 企業文化の構築: 敬意、誠実、または倫理感、およびリーダーシップなどの価値観により可能。
3. 戦略管理: バランススコアカードを用いて管理。
4. 事業目標の達成: 事業計画・機能計画により可能。
5. 先行指標管理: 対象、目標、目的により推進。
6. 人材育成: 知識労働者に反映させる。
7. 意思決定のための情報: 事業関連情報により可能。
8. 事業継続: リスクマネジメントにより可能。
9. 事業開発: 品質・供給力指標を保持した製品を供給する能力、バリューチェーンの機能・特性、顧客関係管理により可能。
 
 
-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?
 
 
我が社が抱える課題は以下のとおりです。
 
1. 自動車工業に対する規制
2. 成長資金
3. 知識労働者の離職
4 . パキスタンのマイナスイメージ
5 . バリューチェーンの最大限活用
6. 技術契約
 
上記の課題に対し、以下の対策を講じています。
 
1. 非自動車セクターへの多角化:
  2015年よりAAPは非自動車会社3社に向けた部品の製造・組み立てを行っていて、今はこれらの事業部門の統合過程にあります。我が社の現在の非自動車顧客は、フィリップス・パキスタン社、株式会社JVCケンウッド、ケー・エレクトリック(カラチにある電力会社)などです。
 
2. 株式/IPO(新規株式公開):
  財務コンサルタントとの討議を始めており、2016~2017年度にはIPOについて検討するかもしれません。
 
3. 従業員育成の機会:
  AAPは組織計画再設定の途上にあります。この再設定によって組織は「少数精鋭」となり、発展と従業員能力開発の機会はより拡大するものと思います。2016年8月1日より、再設定された役割をもつ組織構造が新たに展開されています。
 
4. 積極的な国際市場戦略/国際企業との共同事業:
  まず第1段階として、AAPはウェブサイトを刷新しました。また、2016~2017年度にはこれまで以上に国際展示会や貿易見本市へ出向く予定です。ある大手日本自動車メーカーの子会社が我が社への資本参加に興味を示していて、デューデリジェンスと技術評価を終え、資本参加に関する協議が進んでいます。2016年末までには結論が出る見込みです。
 
5. 新たな部品:
  高品質な製品をタイムリーに供給できる我が社の能力により、射出成形およびプレス加工において、我が社は新たな部品を多く受注しています。また、我が社は付加価値アセンブリについて顧客と討議を重ねています。技術契約については、OEMの生産数量が少ないため依然として課題として残りそうです。
 
6. 業界全体に応用される現地調達化パーツ:
  業界全体に応用されるパーツの製造には設備投資が必要であり、株式/IPOの好機を探っている最中です。生産数量は、例えばアロイホイール製造、ED(放電加工)塗装工場、オイルフィルター、エアフィルター、ヘッドランプ等の技術契約の促進につながります。

 
-現在の海外ビジネス展開状況を教えてください。
 
現在AAPは国際市場において直接事業を行ってはいませんが、パキスタンにオフィスを構える日本企業などの外国企業に部品を供給しています。
 
 
-今後、更なる海外ビジネス展開をお考えですか?また海外ビジネス展開を成功に導くために、貴社が大切にしている事、重視したい事は何でしょうか?
 
 
我が社は「OEMサプライチェーンとして世界的に不可欠な存在となること」をビジョンとして表明しており、インフラや働き方、また企業文化はこの目標を達成するよう管理されています。
 
我が社の品質や価格設定が、世界的なOEMサプライチェーンへの参加を可能にするであろうと確信しています。自動車部品におけるOEM生産では、我が社が生産予定表を調整することはできません。非自動車セクターにおいては、品質や納期において妥協せず、費用効率の高い製造を要求する日本企業と提携していきたいと思います。パキスタンは最低賃金が低い地域の一つで、熟練労働者がいる国の一つでもあります。そして労働者の大多数は30歳以下という状況です。またパキスタンは、中東、アフリカおよび中央アジアに近いため、必然的に顧客までの運送時間や納期を短くして製造できる立地にあります。海外に顧客をもつ日本の組織にしてみれば、AAPはこれらの市場におけるパートナー候補と映るのではないかと思っています。
 
パキスタンにおける金利はいつも低く、セキュリティ環境は急速に改善しつつあります。最近のパキスタンは、オランダから食料分野へ、トルコから民生用機器へ、ロシアから電気通信への投資を受けていて、この市場心理を浮き彫りにしていると思います。
 
概してパキスタン、とりわけAAPは、あらゆる日本企業にとって良好な提携の機会を示しています。我が社はこれまで約30年間、日本へのOEM企業として業務を行ってきました。そして日本人の働き方や、細部への気配りを理解し尊敬することができるようになりました。日本企業向けに製造を行うためにも、日本からの技術移転がAAPにはさらに必要です。
 
 
-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?
 
 
我が社は以下の点について、人的資源開発に向けて最善を尽くしています。
 

1. 各部門の長に、管理スタッフへの研修の必要性について判定させる。
2. 社内のトレーナーに重点を置いた研修の年次予定表を企画・立案する。
3. コーチングおよびメンタリングをKPI(重要業績評価指標)として設定する。
4. 職務上および個人的改善に対して報酬を与える。
5. 四半期毎にスキルマトリックスの再検討および更新を行う。
6. 四半期毎に現場リーダーおよび監督スタッフの評価を行う。
7. 重要な職務における後継者育成計画を実施する。
8. プロセスにおいて当事者意識を持たせるために徹底した教育を行う。
9. 潜在能力を最高レベルに保持し、キャリアロードマップの構築と共有を行う。
10. 人事方針を再検討し、業界において最適な形に見合ったものする。

 

 
-最後に、日本や日本企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。日本に来て驚いた事、感動したこと等ありましたら教えてください。
 
 
日本は習慣や価値観の観点から特有な国です。従業員により示される関心・敬意は日本人社会を支えている柱です。日本が成功した重要な要因は、職場や社会全体に関わらず、全体的にみられる彼らのこの態度であると信じています。
 
今回のHIDA研修プログラム期間中、付加価値のある製品やサービスを届けることで社会や人々の役に立つ機能を日本企業が担っていると実感しました。売上や利益はこの姿勢・考え方の結果なのです。
 
日本企業はいつも会社の使命や価値を自分達の働き方に反映し、実質ともに自分の業務への従事の仕方を決定づけています。彼らは企業創設者の考えやアドバイスをとても重く受け止め、このような働き方を維持するためにあらゆる努力をしています。ほとんどの欧米企業は財務指標の狭い範囲に着目し、従業員の働き方に社是や価値を合わせさせることは余りない、あるいは関連性はないように思います。
今回の日本人との交流一つ一つが素晴らしくて感動しました。
 
 
ご協力ありがとうございました。

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