経営者インタビュー

「2016年は3.5%~3.7%程度のGDP成長率が見込まれているペルー」 ~南米における大手小売複合企業のグループ企業、ペルーの銀行経営幹部に聞く ペルー

2016年9月23日(金)11:00

(Peru/ペルー)

Banco Cencosud S. A.社
Mr. Eduardo Nicolas Kieffer Begazo (Chief Financial Officer)
Peru
 
 
Mr. Eduardo Nicolas Kieffer Begazo (Chief Financial Officer)​HIDAが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
 
今回、南米の大手小売複合企業の一つである銀行を、ペルーで営む参加者にお話しをうかがいました。



-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。


我が社、Banco Cencosud S. A.は南米の大手小売複合企業であるCencosud S. A. Corporationに属しています。Cencosud S. A. Corporationは、スーパーマーケット、ショッピングモール、ホームセンター、百貨店など、さまざまな形態の小売店を経営しています。本社はチリにあり、アルゼンチンでも事業を行っています。アルゼンチンはCencosud Corporationが創業してリーディングポジションを固めた市場で、その後、ブラジル、コロンビア、ペルーへと事業を拡大しました。現在、Cencosud Corporationは、中南米では小売業でウォルマートに次いで第2位です。

我がBanco Cencosud社は、2012年8月に営業を開始し、メインのビジネスはリテールバンキングや消費者向けバンキングです。主な事業は、Cencosudの店舗やそれ以外の小売店で使うことができるクレジットカードの発行と管理です。また、カードは現金の引き出しや消費者ローンに利用することができます。2016年6月末の時点で、 Banco Cencosud社の社員は850人で、そのうち180人が管理部門に所属し、残りが代理店と支店に勤務しています。2015年12月末時点で、当行の収入は合計8,000万米ドルに達しました。 


-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。


Banco Cencosud社は、一定の基準とガイドラインに基づき、金融機関などの企業のコーポレートガバナンスを重視する銀行・保険監督局(Superintendency of Banking and Insurance)が管轄する金融機関です。当行の取締役会は、毎月ミーティングを開き、その中でCEOが当行の取引、財務、営業の状況の詳細を説明しています。また、内部監査、マネーロンダリング防止、資産・債務委員会、リスク管理委員会など、管理上の問題も重視しています。こうした事柄のすべてが、マネジメントの意思決定をサポートしています。


-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?


Banco Cencosud社でマネジメントが重視している5つの重要課題に対して、以下の通り対応しています。
 

1. 収益性の強化:コストと比較して十分な収益を上げることができる製品(クレジットカードでローンを利用するよう奨励するなど)の発売。
2. リスク管理:高いレベルの債務不履行や不良債権のコストにつながる、支払い能力がない人へのクレジットカードやローンの提供。
3. 顧客満足:店舗利用者のロイヤルティにつながる、クレジットカードを使った快適なショッピング体験の提供。また、お客様が当グループのクレジットカードを身近に感じるようにするためのメカニズムや対策の実施。
4. 小売店舗の価値の創出:Cencosud Corporationのスーパーマーケットや百貨店でのクレジットカードの利用の促進。それによって小売店舗を強化し売上を増やすことが可能。
5. 資金の確保:消費者向けローンのための十分な資金を用意するための資金調達の選択肢の確保。


-現在の海外ビジネス展開状況を教えてください。


現在、Banco Cencosud社はペルー国内のみで営業しています。しかし、Cencosud Corporationは常にブラジル、メキシコ、中米などの国の小売企業を買収する機会を求めています。
 

-貴社は銀行ですので、自国の財務状況、経済状況をよくご存知かと思います。現在の状況並びに将来の成長見込みなどについて教えてください。


ペルーの2016年4月のGDP成長率は2.5%でした。この結果は、製造業とアンチョビー禁漁が延長されて大幅に縮小した漁業分野以外の、ほとんどすべての分野が好調だったことによるものです。特に貢献が大きかったのは、銅や原油などの鉱業、電気通信、貿易(繊維など)、農業です。

この国の経済の順調な発展は、主に家庭の消費にプラスの変化が起こり、それが小売業のほとんどの部分に波及したこと、そして輸出が29.2%と大幅に増加したこと、さらに政府の消費支出が増加したことによるものです。過去12カ月間のこの国のGDP成長率は3.7%でした。金融アナリスト、金融機関、金融機関以外の企業の調査に基づく6の月マクロ経済予測調査では、2016年のGDP成長率は3.5%~3.7%だろうとしています。6月の消費者物価指数は0.1%上昇と、ここ数カ月間は穏やかな動きとなっています。上昇の原因となったのは、5月以降の国内の原油価格の上昇、物品税の引き上げによるたばこ価格の上昇、電気料金の値上げ、季節的な繊維製品と靴の価格の上昇です。6月の結果から、年間のインフレ率は3.3%で、ペルー中央銀行が目標としている範囲をまだ上回っています。6月のマクロ経済予測調査は、2016年のインフレ率は、中央銀行のターゲットとするインフレ率の範囲を上回る、3.3%~3.5%と予想しています。 

6月30日のソルの対USドルの平均売りレートは1ドル当たり3.292ソルと、1ドル3.328ソルだった2016年第1四半期末よりもソル高でした。しかし4月中旬にはソルは1ドル3.25ソルに達しました。これは大統領選が終わり、外国人投資家のムードがよくなったことと、国内ではドル建て預金が減少したことによるものです。国際通貨基金(IMF)は大統領選を受けてのペルーの状況について、経済活動は2016年と2017年に加速を続けるものの、インフレは弱まっていくだろうとしています。

ペルーは、銀の産出高では2位、銅では3位、金では5位であるため、2011年以降続いてきた金属価格の下落を受けて、外部からの複雑な影響にさらされています。これは輸出や投資、税収にも痛手を与えています。しかしIMFによれば、鉱業は現在回復してきており、公共投資が増えたことによる鉱物輸出の増加が成長につながり、商品関連の業界に影響はないだろうと予想されています。鉱業生産高が最大レベルに達し、大型のインフラプロジェクトが進めば、ペルーは今後2年間で成長を加速することができるでしょう。


-日本を含め、他国と自国における商慣習には違いがあると思います。自国での働き方に関する考え方、業務文化、国民性など、他国との際立った違いがあればご紹介ください。


ペルーでは情報を手に入れることはパワーを意味します。日本では情報の流れは非常に柔軟かもしれません。つまり、情報はあらゆるところに流れ、個人としてパワーを持たないターゲットグループにも届くということですが、必ずしもペルーでも同様というわけではありません。例えば、秘密情報があります。コミュニティーのための犠牲は歓迎されるものの、ペルーの人々は自分自身の目標やニーズ、興味により強い関心を持っていますが、日本では個人の目標よりも集団の目標が重視されます。また、ペルーでは社会的な関係や所属は恒久的ではないことが一般的です。ヒエラルキー(階級、年齢、社会的地位、性別など)はペルーでも尊重はされますが、それほど重視はされません。

また、あまり明確でない状況の中や情報が限られている場合でも、決定を下すことができます。ペルー人はそれに不満は感じません。しかし日本では、明瞭かつ確実で安全な環境が好まれ、総合的な情報を慎重に評価してから決定を下し、注意深く検討して、ゆっくりと徐々に変えていきます。

ペルーでは男女は平等で、女性がビジネスの中で重要な役割を果たし、組織の中でさまざまな意思決定の権限を持つ高いポジションに就くことが増えています。一部に違いもありますが、男女のバランスは取れており、それを確立しようという方向に進んでいます。これが競争力と発言力につながっています。一方日本では、男性により大きなウエイトや権限が与えられています。これは短期的な視点と手軽な満足を与えてくれますが、日本では預金や投資は長期的な決定に基づいて行われます。格式や慣習に基づくコミュニケーションが日本では重視されます。また、チームワークやコンセンサス、家族やグループのアイデンティティーは、古い時代の特徴を残しており、それが、仕事、個人やグループのロイヤルティ、戦略的考え方やリーダーシップを用いてグローバルな目標を達成しようとする際のシステムになっています。ペルーでは、こうした問題のほとんどはグローバリゼーションが始まった時点で見直されました。


-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?


実際、我々は労働環境を見直しています。会社が社員のものであるという意識とBanco Cencosud社で働くことを誇りに思うという意識を抱かせる方法を考えています。現在、我々はペルーで最も働きやすい銀行のひとつです。今年、「働きがいのある会社」調査に応募する予定です。この調査は、特定の業界と国の優良企業で労働環境の質を調査し、ランク付けするものです。 


-最後に、日本や日本企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。日本に来て驚いた事、感動したこと等ありましたら教えてください。


今回の企業訪問で驚いた事は以下の点です。
1. 家族のような調和と感覚、「和」の概念。会社では社員が互いに助け合い、会社に誠実であり、まるで家族のようです。
2. 会社は全従業員を気遣い、従業員皆の潜在能力を育てるために誠実に取り組んでいます。
3. 企業の社会的責任。環境や自然、農業、さらには障害者への深い関与はとても注目に値します。
4. 年上のリーダーからの見識。年齢に関わらず優秀な経験豊富な者は会社へのアドバイザーとして存在感があります。
5. 家族経営の親から子供への企業継承の道。子供が企業経営を引き継ぐまでにまず会社内部で研鑽を積ませています。

これら全ての結論として、会社が成功するために三つの必要なことは、人的資源、企業文化、敬意であると感じました。



ご協力ありがとうございました。

同国の記事

エントリーがありません

more

海外ビジネスサポートサービス

  • 海外情報配信サービス
  • GHC海外インターンシップ
  • 国際カンファレンス・セミナー
  • 海外ビジネスマッチング
  • 海外市場調査
  • にほんごe-ラーニング

世界に広がるAOTS帰国研修生ネットワーク

海外産業人材育成協会(AOTS)が培ってきた50年以上の研修事業を通じて、43か国と同窓会ネットワークを構築してきました。

各国の同窓会メンバーは製造業を中心とした企業経営者・管理者、相手国政府・公的機関の有力者や技術者で構成されています。この信頼性の高いネットワークを通じて、工業部門を中心とした調査やパートナー企業探しが可能です。

ものづくりと海外をつなぐ

GIJメールマガジン

海外情報や、AOTSプログラム等、情報をご提供します。

  • 無料メールマガジン お申し込みはこちら
  • お問い合わせはこちらから

新着情報

新着ニュースを掲載しております。

more