経営者インタビュー

『将来的にはバルカン地域を超えて世界に事業を拡大したい』~マケドニアのスポーツ用品販売会社社長に聞く (1/2) その他

2017年9月22日(金)10:00

(Macedonia/マケドニア)

※本記事は2回に分けて掲載します。
  本記事は第1話の掲載分です。
  <第2話はこちら>


Sport Vision Dooel Skopje
Mr. Igor Trpkovski (General Manager)
Macedonia
 
Sport Vision Dooel Skopje Mr. Igor Trpkovski (General Manager) MacedoniaAOTSが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。

今回、バルカン地域においてスポーツ用品を製造販売する企業の社長にお話しをうかがいました。
 



-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。
 
Sport Visionは明確なコンセプトを持ち、多様な製品ラインナップでご好評を得ているスポーツ用品販売会社です。バルカン地域において小売、製品製造、有名ブランドのスポーツ用品・フットウェア・服・小物類といったスポーティーなファッショングッズの販売を行っております。当社は20年前にボスニア・ヘルツェゴヴィナで設立され、この5年間でバルカン地域において250の店舗を擁する最も成功した販売チェーンに成長しました。ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、セルビア、マケドニア、クロアチア、ブルガリア、ルーマニアの6か国では直営店を経営し、モンテネグロ、アルバニア、コソボの3か国ではフランチャイズを通じて事業を展開しており、これら9か国計5千万人の方々に製品をお届けしています。
 
過去5年間で当社が急成長を遂げることができた要因としては、まず創業者および従業員が事業拡大のため大きな努力を行ったことが挙げられます。また当社が持つ主に所得の増加が著しい世代と関係するビジネスモデルとノウハウも、マーケットでの競争における優位性をもたらしたと考えます。現時点で当社はバルカン地域で展開していますが、将来的にはバルカン地域を超えて世界中に事業を拡大したいという希望を持っています。当社の本部はボスニア・ヘルツェゴヴィナのビイェリナおよびセルビアのベオグラードに置かれ、従業員総数はグループ全体で2,000人におよびます。事業を展開している9か国で子会社はそれぞれ独立したプロフィット・センターとして活動していますが、グループ内で各子会社は発注の際に共同して規模の利益を図ったり、ノウハウや経験を共有したりしています。

 
-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。
 
小売業者は一つの国の中だけで独立した企業として生き残りを図っても、そのチャンスがないことを理解しています。そのため、戦略的な成長や成功の手段として国際的な事業拡大を検討することは当然のなりゆきといえます。当社でも事業をギリシャとトルコという、計9,000万人の人口を擁する2つの近隣マーケットに拡大する戦略的な計画があります。この事業拡大のため、すでに市場調査と必要な資金の調達を終えました。我々にとって、参入する新規市場として近隣の市場を選択するのは自然なことです。なぜなら、近隣諸国ではものの考え方、生活水準、購買力、可処分所得などが似通っているからです。近い将来には、より大きなヨーロッパ市場への参入も検討しています。
 
そのためには、問題を明らかにし、情報を集め、戦略的なアクションを起こし、競合他社の活動に対抗し、これらを通じて国際企業としての存在感をアピールする、という一連の流れを何度も繰り返していく必要があると考えています。
 
我々は、競争的な発展を遂げていくために最も必要とされる無形の資産は、知識ベースの能力だと信じています。そのため、知識の獲得や従業員に対し継続的に投資するか否かは、企業として抜きに出るか平均にとどまるか、またビジネスで成功するか失敗するか、という違いを作るのです。
 
当社は企業として現在でも拡大を続けており、またさらなる成長の可能性が高いため、つねにやる気に満ち全力で働くことのできる人材を必要としています。当社の従業員は、知識を高めることができれば最初は中間的な、次にはさらに高い管理職への道が開けることを理解しています。当社では、どの従業員が大きな将来像を描き、その中で自ら担うべき役割を理解する能力を持っているかを評価するためのトレーニングを受けた管理職がいます。その管理職は人事、地域での事業運営、小売運営、内務に関係する部署に限られており、適切な評価が担保されています。
 
もし従業員がより上をめざしたいということであれば、特別なトレーニングや適応のための時間の確保、モニタリング等が行われ、さらなる向上のために一定の期間内にすべきことについてのレポートが発行されます。


-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?

現在我々はバルカン地域で活動する企業から発展し、国際的企業としての評価を得ることをめざしていますが、その道筋では2つの点で指導的地位にあるマネージャーが重要です。はじめに、マネージャーは国際的な事業計画を実施し、最も有効な事業のやり方を企業内に広め、企業本部の文化とバルカン地域内の異なった国に広く展開する子会社の文化とを統一していくことが期待されています。次に、経営のプロセスや手法を子会社のあるそれぞれの国の文化の特徴にあわせていく必要もあります。この2点を実現するためには、マネージャーは国際的な力学と国内的・地域的な力学の双方を反映した異文化間に発生する無数の要因に対し、当社が適切に対応していけるような深い知識を獲得していかなければなりません。この場合、豊富な知識を持ち、戦略的にローカライズされたマネージャーが地域的に拡散した調達・生産・販売のプロセスを統合するという難しい課題に挑戦しつつ、グローバルとローカルの間の相互作用に対応していくことになります。
 
国際的企業の子会社が地理的に離れた本部から直接トップダウン式で管理・監督されるときには、小売企業を経営する上でのダイナミクスと恒常的な時間不足のため、時折、特定の決定や行動のすべての側面や、そうした決定や行動がどのような結果を引き起こすかを予想することが難しくなります。この場合、地元スタッフの知見が最も重要であり、必ず考慮されるべきものです。ここで、各国子会社のマネージャーと彼らの能力が焦点となってきます。彼らはすべてのステークホルダーの利益を考慮し、細心の注意を払って当社全体のグローバルな戦略と子会社の地域的かつ短期的なパフォーマンスのバランスをとりながら、責任をもって特定の経営行動を進めるか否かを決定する必要があります。有名な「プリンシパル=エージェント理論」はまさにこうした状況を描写しています。モラルハザードおよび本部と子会社の利益対立が引き起こす問題により、莫大なコストが発生する可能性があるという状況です。ただ、短期的なパフォーマンス指標においてどのような問題が発生したとしても、当社の高次の利益が最優先されるべきものだと考えています。繰り返しになりますが、マネージャーはグローバルな本部とローカルな子会社の間で短期的・長期的な利益をめぐって発生する軋轢を緩和する方法を見つけなければなりません。
 
日本企業も海外で事業を展開するにあたり、このような本部と現地子会社の間のジレンマを経験したものと思います。もし適切に言語、ビジネス倫理や文化の特色・違いを扱うことができなければ、それらは国際的なビジネスの運営に大きな負担となるでしょう。
 
基本的な必須条件は、多文化に親しんだマネージャーとなりうる人材を見つけ、昇進させていくことです。彼らは競争の激しい海外市場に挑戦していくための、国境を越えた事業をうまく操縦していける、必要不可欠な経済的エージェントです。こうした世界で勝負していける経営陣は、グローバルな統合とローカルな要素への対処のバランスを取るという国際的な挑戦に適切に対処していかなくてはなりません。プロフェッショナルとして、彼らは高いレベルの経営的、技術的、また革新的な経験を有し、常にゴールを念頭におきながらそこに向かうペースを整えていく存在です。つまり、経営の鍵となるのは人材です。企業が新しい市場で成功を収めることができるかどうかは、適切な戦略の有無だけでなく、実際の経営の実行と方針の現実化にかかっているのです。
 
経営の拡大をより広い文脈で考えると、早期の準備開始と適切な参入戦略の採用が経営のリスクを最小化します。したがって、グローバルな調査を行い、国際ビジネスの機会を掴んでいくために必要な知識を得ることが不可欠です。情報の不足は経営資源の不足によって引き起こされ、また国際的な経営を行う経営陣の不在という形で顕在化します。我々の経験に基づいていえば、経営の専門的技術や能力の欠如および情報の不足が、国際化の途上にある企業の直面する最も深刻な困難です。
 
※本記事は2回に分けて掲載します。
本記事は第1話の掲載分です。
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